minm

DANCE TRAVEL & ART

JOURNEY

みんなでごはんを食べる未来。ソーシャルレストランあるいはソーシャルイーティング。

2024 Oct.05

デンマークのコペンハーゲンに「Folkehuset Absalon」(フォルケフーセット・アブサロン。みんなの家アブサロン)という施設がある。

日本にも展開されている雑貨ストア「Flying Tiger」の創始者であるレナート・ライボシツが地元の教会を買取りリノベーションしたコミュニティハウスだ。

現地の人に聞いた話だと、かつては教会が町の中心にあって人々をつなぐ役割を果たしてきたが近年は教会に通う人も減ってしまい、町の真ん中にありながら役割を果たせなくなってきてしまっている。自分の地元に自分も含めた人々の居場所があって交流が生まれるべきだと考えたライボシツ氏が教会を買い取り、フライングタイガーを彷彿とさせるポップな内装に改装し、セカンドリビングあるいはサードプレイス的な場所として、カフェ、コワーキング、スクーリング、イベント、などに活用している。

教会のコミュニティハウス化という話だけでも十分に面白いし、日本に置き換えれば町の真ん中にある寺社仏閣で地元の人がパソコンで仕事をしてたりヨガをしてたり週末はDJパーティーが行われたりといったことを想像するだけでも楽しいわけだが、ここアブサロンの最大の特徴は「Fællesspisning フェッレスピースニン。みんなでごはん)」だ。教会などでみんなでごはんを食べるフェッレスピースニン自体は他の場所でも行われているようだがこのアブサロンが有名らしい。

アブサロンのWEBサイト(https://absaloncph.dk/en/food/)を見ると、週7日、ランチと日曜から水曜のディナーは60デンマーククローネ(およそ1,300円)、木金土の夜は100デンマーククローネ(2,200円)、そして知らなかったが朝7:30から朝食もとれるらしい。

毎日1メニュー、ディナーなら18時一斉スタート。事前にチケットを予約。今はどうか知らないが僕らが行ったときは数週間先までまで埋まっていたので、コペンハーゲンに行くことが決まったらまず真っ先に予約を。

これがアブサロンの外観。どうみても教会。

近づくとなにやらイベント告知やイベントカレンダー。

中に入るとフライングタイガーを彷彿とさせるポップな内装。イベントだけでなくふだんからシェアラウンジ的な使い方がされている。

メインフロアには長テーブルがありディナーのために少しずつ人が集まる。

長机なので、最終的んは知らない人と相席になり、テーブル上のカトラリーを配置する人、奥のカウンターに料理をとりに行く人、食事をよそう人、など、自然とコミュニケーションが生まれる。

この日のメニューはカレー。テーブルごとの大皿にもられ、あとは各テーブルで一人一人に配膳する。

 

全体はこんな規模感。ざっと100人くらいだろうか。僕たちの左側に座ったのは地元の大学生たち、右側に座ったのは近所の老夫婦。老夫婦は、安くて美味しいし若い子たちとも話せるし楽しいからよく来るわ、とのこと。

今や外食産業が特に東京においては飽和状態で、しかも値段は高騰している中で、おそらく今後日本でもこのようなソーシャルイーティングは増えてくることと思う。そもそもお店でも店員とフランクに会話する欧州の文化と、黙って買い物をする日本の文化は違っていて、日本文化はこういうソーシャル性は苦手だとは言われ続けてきたものの、一度体験すれば壁は簡単に崩れ去るもので案外日本でも支持されるのではないかと思っている。

メニューはひとつ、選べない。それがまた良いところ。メニューが目的なのではなく、食べることを通じた時間と場所の共有が目的なのだから。

ちなみにこの日はボードゲームナイト。食事がおわったら各テーブルごとにお皿を自分たちで返却口まで持って行き、壁際に置いてある様々なボードゲームを持ってきてはみんなで遊び始める。日によって、ダンス、カラオケなど色々あるそうだ。

何よりも若者のブーム、ではなく、普通の人が普通に使ってるところが素敵だと思う。(リーズナブルなので若者が多かったが)

totop